相沢越

群馬県甘楽郡下仁田町 相沢-南牧村【2002.04.13】

ヤマケイアルペンガイド奥日光・足尾・西上州の「道場から毛無岩」の頁に下記のような記述があります。このガイドブックを持っている方は、是非ご一読を。

道場川を遡り毛無岩へのルートは、かつて西牧川の奥の相沢集落と結ぶ古い峠道だった。
稜線に出たところは相沢越だ。北へ相沢へと指導標は指しているものの、かすかな踏み跡は判別が困難だ。

実際に現地に行ってみると全くその通りで、道標が示す相沢方面は見事なくらい道らしきものはなんにもなし。昭和40年頃の5万分の1の地形図(同行のF田さん所有)を見ると、相沢から道場には点線でルートが示されているが、現在にいたっては地形図はおろかエアリアマップのあの目立たない点線さえもなし。ためしにインターネットで調べまくってみても毛無岩へのルートの途中に、わずかに紹介されているくらいで、相沢からの記述はやはり皆無。唯一の情報が30年以上も前の5万分の1の地形図だけとは。

旧道派にとってこれ以上のルートはないではないか。こんな篤志家向け上級編のルートへ誘われれば、これは行くしかない。「とりあえず行けるとこまで行きますか」と言いながらも、ザックの中には、10ミリの補助ロープ10メートル、3ミリの細引き15メートル、ビバーク用のツェルト、非常用食料、等々をしのばせ万全の態勢で臨んだのだった。

相沢越への道
相沢の集落まで車で入り、ここで自転車を組んで、いよいよ相沢越の始まり。手元にある2万5千分の1の地形図「荒船山」を見ると、相沢から林道が相沢越に向かって1キロ弱延びているが、実際にはかなり先まで延びている。伐採のためか、途中から簡易舗装されていた。

おお、あそこに見えるのが相沢越だ!相沢越を臨む。
林道を道なりに走り、伐採地の付近、右に大きくカーブする所で、自転車を止めて2万5千分の1地形図を元にコンパスで正確に相沢越に方向を定める。この辺からいよいよ旧道へ突入となる。

ようやく見つけた旧道
沢の付近で旧道の入り口を探す。F田さんと手分けをして、ようやく旧道を発見。2人で手分けをして探すから良いようなもので、単独行ならこうはいかない。実に心強い限りである。最初の方は、予想以上にわりとしっかりした道が残っていた。

旧道を進む
途中からは、道が消えたり再び現れたり。 むかしの道の雰囲気を感じつつ進む。よい雰囲気だ。

むかし道、再び
沢の分岐にさしかかり、どちらへ進むのが正解なのかとコンパスで相沢越の方向を確認。なんと今まで相沢越だと思っていた稜線上の美しいくぼみは相沢越ではなく、正解はもう少し右方向だった。持倉越の下見の時も、同じような勘違いをしてとんでもない方向に行ってしまったのだ。こんなルートでは勘に頼らず、頻繁にコンパスで方向を確認するに限るのである。 正しい方向を確認して進むと、再びむかし道が現れる。

相沢越までもう少し
大きな岩がごろごろしている箇所で、道が途絶えてしまう。ここから先は自転車を担いで、という状況では少々無謀か・・・という雰囲気が。相沢越までもう少しというところなのに。とりあえず一休みして、再び2人で手分けをしてそれらしい道があるか調査する。やはりあった。岩場の中を、かろうじてルートらしいものが。足場の悪い所を慎重にクリアすると、再び歩きやすくなるが、この辺までくると踏み跡らしいものはほとんどない。相沢越はもうすぐそこ、のはず。ルートをはずさないように慎重に進む。 途中、炭焼きの跡を発見。ルートをはずしていないことを確信する。

相沢越
と、間もなく稜線上に道標らしきものが!

相沢越
らしきものに引っ張られるように稜線まで進むと、やりました!ジャストミート!相沢越に到着。なんという爽快感!ここまで約3時間の行程だった。ここから先、道場へは自転車に乗ったり押したり担いだり、3割位の乗車率か。道場川沿いに春の景観を堪能しながらゆっくりと降りて行った。