富士見峠

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栃木県日光市【2009.06.07】

野門の宿一乃屋と渓流釣り師

MTBツーリングガイドブックに掲載されている富士見峠の頁には、日光の明智平までバスで輪行し、そこから光徳牧場、裏男体山林道を経て富士見峠、峠から野門へ降りていくコースが紹介されている。「逆コースは標高差もあり、電車の便も悪くあまり勧められない」最後はこう締めくくられている。

あまりお勧めされなくても、すでに私は湯沢峠を越えて、野門に来てしまっている。明日は、山サイ研集中ランで富士見峠13時集合だ。「よお〜し、明日はその標高差をたっぷりと楽しませてもらうおうじゃないか」囲炉裏の炭火で炙られた山の幸に至福の時を過ごしつつ、ビールの軽い酔いもからまって、身体の疲れとは裏腹に気合いだけは充分だ。さっきまでの焦燥感いっぱいのサイクリングのことはすっかり忘れ、気分はすでに富士見峠。

この日の宿は、野門にある一乃屋。ここは富士見峠の北の玄関口と言える場所で、さながら離島のように小さな集落が山中にぽつんと存在する。ネットで検索すれば「江戸末期には、官軍の北上に伴い幕府軍は日光東照宮のご神体をここに避難させた。以来ここにも東照宮もある」という情報が多数ヒットする。ご神体は日光東照宮から富士見峠を越えて運ばれてきたのだろう。大変に由緒正しい所であるのだ。単なる峠道は、物語によって古道に昇格し、ありがたい付加価値をつけてくれるのであった。

宿は、同じ山サイ研のK田さんが手配してくれた。そのK田さん、土曜日は仕事である。仕事が終わってから速攻で電車に飛び乗り、駅からはタクシーで宿に入る予定になっている。おそらく午後10時頃になるだろうか。集中ランに注ぐ情熱は並々ならぬものがある。

炭火焼きとどぶろく

K田さんを待ちつつ、一人囲炉裏でとる夕食。近くでは、渓流釣り師の3人が盛り上がっている。彼らが釣ってきた大きな鱒がフライにされ、こちらにもお裾分けをいただく。鱒がきっかけで会話が始まり、釣りから話は多方面に広がり、中の一人が、あのポップ吉村本人が加工したカムシャフトを所有しているなんてところまでいくものだからもう大変、さっきまでの富士見峠担ぎ上げ気合いモードはそのまま、懐かしのモータースポーツワールドへとシフトし、大いに楽しませていただいた。渓流釣りの皆さんありがとうございました。

宿の評価は色々あるが、なんといっても食事に占める比重は高く、そういう意味で一乃屋は大変に満足度の高い宿であった。山の幸はもちろん、自家製のどぶろくは絶品!さらに若女将の感じがすこぶる良いのも満足度を加速させる。渓流釣り師の3人が常宿にしているのもうなずける。是非ともまた泊まりたい宿である。

降水確率いっきに下がる

カーテンを開けたままで寝たものだから明るさで目が覚めてしまった。と、いうことは窓の外を見れば朝から夏を思わせる青空。気になっていた降水確率はいっきに下がり、2,000メートルの高所を越えるにはたいへにありがたい天候になってくれた。

K田さんと宿の朝食をいただき、出発の準備をしていると携帯電話が鳴った。誰かと思えば山サイ研の先輩であるK島さんからだ。K島さん一行は、光徳牧場から山王峠を越えて野門に向かっているという。野門側からアプローチするのは我々2名だけかと思っていたので、うれしくなってしまった。たとえ一緒に行動しなくても同じ峠を目指している仲間がいるだけで非常に心強いものだ。

7時45分、野門をスタート。標高950mのこの地点から、舗装の林道を上って登山道に入り、再び林道に合流する1862m地点までは、きつい勾配をこなしていくことになる。

一乃屋からスタート

布引の滝までは良好な小径が続く

野門の集落を望む

舗装を足慣らしのゆっくりとしたペースで走り、少しずつ高度を上げていく。途中から野門の集落が見えた。

今頃K島さん一行はどのあたりだろうか。「K島さ〜ん」と谷に向かって叫んでみるが、声などは届くはずもなく蝉の声にかき消されていく。天気は上々、気分も上々。途中には「ここなら携帯電話が通じます」的立派な展望台があった。ここから先は、携帯電話もしばらくは通じないエリアとなるのだろう。

携帯通話可能エリア

舗装の林道終点9時50分着。ここから登山道になるが、布引の滝入口までは、明るく道の状況もよい。富士見峠から自転車で下りてきたら、ようやくこの辺りから自転車本来の性能を発揮できることになるのだろう。

布引の滝まで良好な道

10時10分布引の滝入口着。「いや〜、いい道ですねえ。乗って下ったら最高の道だ〜」まだ序の口なのに、ずっとこんな山道が続くのではないかと期待を高めてしまう。互いに「予定よりも早く着きすぎたらどうしようか」などと思わず口から出そうになる。が、これは禁句だ。この言葉を口にした時にかぎってその後の展開はろくなことにならないのである。

荒廃が進む林道

峠まで担ぎっぱなし

地形図の等高線は標高1750mあたりから間隔が広くなってくる。登りが楽になってくるが、道は荒れ気味になってきた。ここを自転車で下ったとしてもほとんど乗れる状況にはないだろう。樹林はその濃度を増し重くのしかかってくるようだ。今日のように天候に恵まれれば良いが、悪天候の中だとこの雰囲気は少々辛いかもしれない。

途中で若干わかりにくい箇所もあるが、目印をたよりに進むとじきに林道に合流する。林道といっても廃道寸前で、富士見峠から下りてきた場合この合流地点のすぐ先で行き止まり。ようやく頭上の覆いが取れたような開放感を味わうが、まだまだ先は長い。以前はここ辺りまで車が来たのだろう。途中にドラム缶や古タイヤが捨てられいた。

ドラム缶

荒れ放題の林道は、上りではほとんど乗れない。自転車を押しても良いのだが、押したり担いだりが面倒なので、そのまま担ぎっぱなしで富士見峠まで歩いていった。

富士見峠着、13:30分。余裕を持って30分ごとに休息しながら5時間45分の行程だった。峠にはすでに6名の仲間が集合している。集合時間を30分経過したので、そろそろみんなで記念写真を撮ろうという丁度のそのタイミングでの到着だった。

富士見峠

歴史の道をゆく

集合写真の撮影が終わると、K藤女史は単独で野門側に元気に下っていった。その容姿からは想像しがたいガッツ溢れる走りにいつもながら敬服してしまう。途中で後続のK島さん一行に出会うことだろう。数分後に野門側から1台のMTBが上がってきた。M川さんだった。K島さん達と一緒だったが、集合時間に合わせるために単独で先行してきたようだ。

1時間ほど峠での時間を堪能し日光側へ降りることにする。これから到着するであろうK島さん一行にお会いしたいところだが、時間もおしてきたので先に失礼する。
峠からは同行者も増えてにぎやかになった。さて、どこを通って日光まで行こうか。 地図を見るとモッコ平に日光まで一筋のトレイルがある。これを下ろうか?否、状況もわからないし、林道を走った方が無難かも。

「行くべきだよ」
迷っていると、古道の歴史に造詣の深いS城さんのひとこと。
「野門からご神体を運んだ古道を辿ってきたのだから、やっぱりこの道を行かなきゃ」
日光から富士見峠までは色々なルートがとれるが、ご神体を運んだ道は、これから下ろうかと検討中のモッコ平の道ではなかろうかとS城さんは推測する。

モッコ平の道1

モッコ平の道2

モッコ平の道3

笹の中に消え入りそうな一筋の路を延々と辿る。足下は笹に隠れて見えないので、段差や倒木等の状況がわかりにくい、というよりほとんどわからないスリリングな小径。しかも長い。野門からの長い担ぎ上げも充分に元がとれるほど、日光への下りを堪能した。

寂光の滝に16時40分着。ようやく下界におりてきた。ここからは日光駅までひとはしり。そこから先はお楽しみの居酒屋列車の始まりだ。

1/25,000地形図 川俣湖・日光北部

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