馬道をゆく 広河原越と六助

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群馬県多野郡上野村【2004.01.02】

社壇乗越から広河原越まで天丸山の西側をほぼ水平に県界尾根まで続いている道が馬道である。
馬道はその名が示すように、昔むかし馬の背に荷物を載せ人々が行き来した道だったのだろうか。こんな場面を想像させる峠道は山岳サイクリストにはたまらない魅力がある。
私も山岳サイクリストのはしくれ。是非ともこの馬道を自転車で走りたい!とあつい思いを抱いていた。
いざ実行に移す場合、馬道だけ走って「ああ良かったね」ならさほど難しいこともないのだが、そこはやはり峠越えが正しい山岳サイクリングの姿。馬道を走ってその先にある峠を越す、あるいは反対側から峠を越えて馬道に入らねばならない。

馬道の先には広河原越(馬道のコルとも呼ばれているが)という峠があり、群馬県上野村と埼玉県大滝村を分けている。
どちらから行ってもこの峠を越える必要があるのだが、問題は埼玉側。地形図にも山と高原の地図にも道は記されていない。確かに昔は道があったはずではあるが、すでに過去のものとなってしまっている。

ここが最大の難所なのである。
道はないので、沢づたいのルートとなる。沢登りとしてはさほどの難しさはないとしても自転車を担いでとなると難易度は急上昇。 担ぎ、ルートファインディング共にかなり高い技術が要求される。このレベルのコースになると西上州の峠難易度ランクは迷わず最高の★★★★。
付近には天丸山や帳付山など、西上州で人気のある山があるために、他の★★★★コースに比べて情報量は多いが、過去にこのコースを自転車で越えた(もちろん担いで)人は世界中でまだ5、6名しかいないという超レアな存在なのだ。

2004年のお正月。上野村は無風快晴。2週間前に降った雪も日向ではほとんど消えている。いい条件だ。
ルートに関しても、馬道の下見を2回、バリエーションルートの調査を3回行っている。しかも同行者はこの界隈に精通しているベテランのビールOまえさん。万全の態勢である。 それでもこの時期は日没も早く、未知のルートが含まれているので、装備も慎重になる。不測の事態に備えてツェルトと予備の食料を持ち、家人にも「場合によっては山中で1泊になるかも知れんから心配しないように」と言い残してきた。ここまでしておけば日没間近に焦って行動することも避けられるというもの。

登山道入り口天丸橋を起点に周回を取る。当初の計画では埼玉側から担ぎ上げて馬道に入る予定だったが、今回は逆に馬道から埼玉側へ抜けることにした。
8時20分、準備万端いざ馬道へ。最初は程良い登りの林道を走る。すぐに天丸山登山口に着く。と、びっくり!あまりにも立派な道になってしまっている・・。

社壇乗越から馬道社壇乗越から続くお待ちかねの馬道もごらんの通り。昨年の2月に下見できた時とはえらい変わり様である。 工事したてなので違和感はあるが、時が経てば自然にとけ込み雰囲気の良い道になるだろう。
馬道は雪があって乗れないだろうと思っていたが予想に反して、途中まで気持ちよくサイクリングができた。春からなんと縁起が良いことか。

馬道拡幅工事の道も途中まで。
そこから先は従来の雰囲気に戻る。峠まで押したり 担いだり

雪に轍を残す 日陰になると雪もそこそこ残っていた。暮れから新年にかけて馬道を歩いたのは動物ばかりのようで、人間の足跡は見あたらなかった。
肩に担いでいたMTBをところどころで降ろして、雪の馬道に轍を残す。この後も、峠を越えて林道に出るまでそこかしこで、このように雪に轍を残してきた。マーキングは本能のなせる技であろうか・・・

馬道のコル1時間と50分で広河原越(馬道のコル)に到着。
さてさて勝負はここからである。ここから先、最初こそ笹藪の中にかすかに道らしきものがあるが、それも長くは続かない。その先は至高のワンダーランドである。

深い笹藪へ突入埼玉側は楽しい藪こぎから始まる。
コンパスを進行方向にセットして、いざ突入!
いきなり最初から矢沢峠クラスの笹藪だとそれだけで気力体力をかなり使ってしまうが、藪こぎの難易度はそれほどでもなかったのでひと安心。
(注:矢沢峠。広河原越と同じく、難易度は最高ランク四つ星の西上州の峠。ここの藪を制覇すれば藪こぎ終了証書がもらえるかも?藪こぎ好きの方は是非どうぞ)
Photo by Hitoshi Omae

テクニカルな担ぎの連続藪の後は沢下り。
かつて馬が歩いた道はどこかいな?と思いながらも沢筋を行くしかないような状態が続く。
この沢下りを10回くらいやれば、山岳地帯での自転車の扱い方はプロ級になれることだろう。担ぎ技四十八手を駆使して沢を降りる。
距離自体はさほでもないが、こんな状態で降りるので林道まで約2時間かかってしまった。
Photo by Hitoshi Omae

あれっ!肩にくっついている黄色い物体はもしやGPSでは?と思った貴方。めざとい!そうなんです。いつもは地形図とコンパスで勝負するんですが、今回はハンディーGPSを持参したんですよ。 実際に馬道はどのようについているのか25000/1の地形図に落としてみたかったのと、林道から沢のとりつきの部分の正確な場所の確認のため。(この部分の林道の位置が、山と高原の地図と地形図とで違っている) 初めて山で使ってみましたが、今自分がいる場所の確定の正確さには驚きましたねえ。こんな便利な機械に頼り切ってしまうのはいかがなものかと思いますが、地形図を読むための非常に心強いサポート役になることは確かです。

六助13時ちょうどに無事、林道に出た。よかったよかった。ここでようやく腰をすえてランチタイムがとれる。自家製きねつきの餅を入れたマルタイ棒ラーメンが実にうまかった。

さて、この後は林道を走って車を駐車しておいた天丸橋へ戻るのだが、帰りにもう一つ、いにしえの峠「六助」を越えることにした。
西上州の秘蔵の峠「六助」は、ちょうど天丸トンネルの上にある。
山と高原の地図の1995年版にはこの峠を超えるルートが赤い点線で記されていたが、その後林道工事も進み2003年度には、峠越えのルートは消え、六助の名称のみ記されている。(山と高原の地図「西上州」1996年度版から2002年度版に関しては未確認。やはりこの手の地図は毎年購入しないといけません。反省)
昨年、ビールOまえさんからこのルートのとりつきを教えてもらったが、現地に行ってもまったく見当もつかなかった。 この峠越えは私だけではまったくお手上げ。

広河原越を越えただけでも大大大満足だったが、さらにビールOまえさんの先導で六助まで越えることができた。う〜ん、なんとラッキーなことか。これは私にとってお年玉ようなものです。 とりつきは実にわかりにくいが、その先、峠までは予想外に明瞭な道が残っていた。峠には祠があって実に良い雰囲気だ。
かつて広河原越と六助を1日で周回した先輩がいる。当時は林道もなく、今よりもはるかに長い区間の担ぎあげが必要なはず。今回、林道を走りしかも馬道の状態も良好、それでもまる1日かかったのに。その技術・体力・情熱にただただ敬服。

六助から群馬側の旧道を歩き、再び林道へ合流。日没にはまだ少しだけ余裕のある午後4時に無事天丸橋に着いた。
ご充実さまでした。めでたしめでたし。

天丸橋08:20 -- 社壇乗越8:45 -- 広河原越(馬道のコル)10:30着・10:55発 -- 広河原林道合流13:00着・13:55発 -- 広河原林道 -- 六助14:40着・15:20発 -- 天丸橋16:05

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