矢沢峠

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長野県佐久町【2002.06.01】

矢沢峠は、MTBツーリングガイドブックコースガイド関東版(山岳サイクリング研究会編)余地峠の頁の中で、バリエーションルートとして記載されている。ちなみに近くの大上峠にも矢沢峠への道標があり、道標は作業道の先を示していたが、そこから峠に行けるかは未確認。紛らわしいのでご注意を。

まだ、山岳サイクリングを始めたばかりの頃である。南牧村の熊倉を起点に、大上峠を越えて矢沢集落へ。そこから矢沢峠を越えて、ついでに余地峠の旧道下りも楽しむという、誠に都合の良いコース取りを考えたことがあった。距離はそれほどでもないし、1日の行程としては丁度良さそうだ。が、それは「とんでもないことだ」ということは、後でわかった。

当時、矢沢峠越えがいかに困難なルートなのか微塵も知らない我々は、実に気楽な気持ちでこの周回コースに出かけたのだが、肝心の峠付近で群馬側へ降りる時の唯一の目印である、あのM大WVの矢沢峠の標識が見つけられずに、やむなく元来た道を引き返した。 ガイドブックには「峠近くなると道が不明瞭になるが鞍部のもっとも左(北)にM大WVの矢沢峠の標識あり」と記されている。この時は、だだっ広い峠に密生している背丈を超える藪に圧倒され皆目検討もつかなかった。 もし仮に、例の標識を発見したとしても、当時の技量では、とても先に進めなかっただろう。

このWEBで度々登場する名著「群馬の峠」でも、矢沢峠に関しては「この峠道は案内なしでは危険である」と記されている。昭和45年6月28日の記録である。当時も相当な密藪だったようだ。

それなりに経験を積み再び矢沢峠越えにやってきた。今回は南牧村自然公園を起点に余地峠経由の周回コースである。
【南牧自然公園(START and GOAL)--余地峠--川久保--R299--矢沢の集落--矢沢林道--矢沢峠--南牧自然公園】
前回、熊倉を起点にした大上峠経由よりも距離は短いが、これで丁度良いのである。 いつもの相棒シノちゃんは都合がつかず峠越えのベテランF田さんと2人。聞けばF田さんも矢沢峠では痛い目にあっているというではないか。

2人ともに再挑戦の矢沢峠だ。
YAZAWA・・峠までグレイトでビッグだったなんて。

矢沢峠にていきなり矢沢峠。
途中、越えてきた余地峠の昔ながらの雰囲気とは裏腹に、ダム工事で様相が一変してしまった峠の湯付近の状況など、ここへ来るまでにネタは色々ある。
しかし、ここは矢沢峠に集中しよう。
以前は峠付近で、例のプレートを探しだすのが非常に困難であったが、今はごらんのように立派な案内板が立っている。
林道から登山道への入り口にも立派な案内板があり、そこから峠までの登山道もきれいに藪が刈り払われている。峠近く不明瞭だった道には目印がたくさん付けられ、難なく峠まで来られてしまう。
かように長野県側は大変整備が行き届いている。長野県側でこの峠は完結していると言った方が早いだろう。

これが例のプレートだ案内板から群馬側に数メートル下がった箇所に、探しあぐねたM大WVの矢沢峠の標識があった。 こんなところにひっそりとあれば、見つけるのが難しいはずである。

群馬側へ続く道・・のはず峠付近から長野側を背にして左方向。
いにしえの峠道の構造を把握すれば峠から道がどのように延びるかが、推測できるようになる。すると不思議なことに密藪に一筋の道型がうかびあがってくるのである。
そうに言われれば、なんとなく道があったような雰囲気が・・してきませんか?

さあ、ここから戦闘開始。
藪にMTBを担いで突入していく。

密藪との格闘ものすごい藪に行く手を拒まれ悪銭苦闘の図。
篠は非常に弾力性があり、上手に漕いでいかないとその弾力で身体を押し返されてしまう。こなるともう自転車があってもなくてもほとんど変わらない状態になってくる。 この篠を刈り払いながら進めばどうかと、F田さんが持参した鉈をふるってみたがまったく歯が立たない。歯が立たないとはこういう状況のことを言うのかと妙に納得する始末である。
この密藪は数十メートルか、いやもっとあるだろうか?一度、密藪に入ってしまうと感覚がわからない。ハードな藪漕ぎは、気力・体力が著しく消耗しおまけに時間もかかる。

藪を抜けるとこんな道が激しい密藪バトルが終わると、先ほどとはうってかわって穏やかな峠道が現れた。
乗れば乗れるではないか。
「矢沢峠は最初の密藪さえ克服すれば後は極一部の人達が知る秘密の極上コースなのでは・・」「どうりで、○サイ研のお正月ランでよく登場していたわけだ」
壮絶な藪漕ぎの後に登場した女神様のようなシングルトラックに、喜びと安心感に満たされたF田さんと私はそれぞれ好き勝手なことを言っていたのだが、世の中そんなに甘くなかったのである。

はっきりとした道から次第に道筋が薄れ慎重にルートファインディングしながら旧道を忠実にトレースしていくと、再度、密藪が行く手を阻んでいるではないか。やはり矢沢峠、これからが本番なのである。
ルート調査のためMTBを持たずに空身で藪に入ってみた。四方八方を背丈以上の篠に囲まれ、先に進むのが非常に困難だ。それでもなんとか篠をかき分けて進むが、方向感覚は薄れてくるし、こんな状態の時は心理的に非常に不安になるものである。 この付近は熊が多い。藪漕ぎやってて熊と鉢合わせしたなんて話は聞いたことがないが、そんな心配まで頭をもたげる始末。こんな時は、アントニオ猪木のテーマ曲をかけてファイティングスピリッツを奮い立たせるしかない。矢沢峠の藪漕ぎは、まさに格闘技だった。

石垣を発見密藪と極上の道が交互に登場する非常にメリハリのきいた矢沢峠群馬側の旧道。
途中、歴史を感じさせる石垣を発見。旧道派にとってこのような当時の建造物との出会いは何よりのご褒美である。

ゴール近くの目印?合計3回の密藪との格闘の末、消えそうな道筋を慎重にたどながら林道に出る。
林道に出る直前で、このような目印を見つけた。
「おお、これは矢沢峠旧道を正確にトレースした時のゴールの目印では・・」実に都合の良い解釈をして、証拠写真を撮っておいた。

後日、西上州のベテラン、ビールOまえ氏に意気揚々と矢沢峠完全制覇のメールを送る。
ビールOまえ氏によれば、矢沢峠越えの場合、ほとんどの人は、我々が到達した地点、大上林道の南牧自然公園よりも少し上(大上峠寄り)に出るそうだが、実は本来の旧道を行くと南牧自然公園から余地峠に延びる林道の途中に出るとのことだ。
つまり例の目印も関係なしだったのである。
そう言われてから「群馬の峠」の矢沢峠の頁をもう一度良く読むと「うっかりすると余地峠へ行ってしまう。左へ入る踏み後を注意深く探しあてるより他に目印のない所だが市川さんは簡単に見つけて、私達を導いた」という記述が。
旧道を完璧にトレースしたつもりだったが、まだまだ修行が足りなかった。せっかく藪漕ぎ修了証書が出るところだったが、これではお預けである。
う〜ん、くやしい!ファイティングスピリットをかきたて、完全制覇を目指し再度挑戦するしかないではないか。今度こそ!

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