究極の機能美 炭酸カルシウム乾燥小屋

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群馬県甘楽郡下仁田町青倉【1999.02.18】

 下仁田町青倉から平原、七久保方面へ向かう途中左手に巨大な木造建造物がある。
杖植峠や八倉峠をMTBで下り下仁田へ向かう時は、その下りの快適なスピードで見落としてしまうかも知れないが、ここは急がず一休みしてこの建造物を見てほしい。

炭酸カルシウムの乾燥小屋

炭酸カルシウムの乾燥小屋 高さ10メートル 長さ70メートルほどの巨大な建物で、優れた機能美を誇り国内に唯一存在する希有な存在。所有者は白石工業白艶華(はくえんか)工業。近代文化遺産に向けて、下仁田町や県、文化庁に積極的な働き掛けが進められている。

歴史的背景

大正12年、白石工業商会が、石灰石の加工場として建設に着手し昭和7年から白艶華(はくえんか)とよばれる膠質炭酸カルシウムを主力とした生産を始めた。

白石工業商会 炭酸カルシウムは紙を白くしたり、研磨材や添加剤等に幅広く利用されている。タイヤの素材としても炭酸カルシウムは不可欠な存在であり、白石工業商会の製品は英国ダンロップ社で高く評価された。その後日本に逆輸入され、広まっていった。戦時中、白石工業商会の社員には召集令状が来なかったというエピソードも残されている。

乾燥小屋は、製造工程の最後に炭酸カルシウムを乾燥させるためのものだった。
最盛期には100棟程あったが、昭和50年代に入ると製法の機械化が進み、乾燥小屋は順次取り壊されていった。現在は3ブロック、20単位[3間(7.5m)×6間(11m)が1単位]残っており、一部は倉庫として利用されている。

究極の機能美

炭酸カルシウム乾燥小屋

 建物は風通しをよくするために壁がなく、切り妻のトタン屋根と柱だけで構成された木造の2階建。乾燥用の棚は天井までびっしっりとあり1、2階合わせて43段まで作られている。「乾燥させる」という1点にその目的を絞り込んだ建物であり、環境芸術としての評価も高い。

エコロジカルな工場

map 縁もゆかりもない青倉を工場建設地に選んだ理由は、炭酸カルシウムを乾燥させるための自然条件が全て満たされていたからだ。下仁田町青倉といえば江戸時代から石灰生産で知られており、豊富な水をたたえ、雪はめったに降らず、雨が少なく、乾燥している地域だ。
豊富な水と傾斜地を利用した水力発電。掘り出した石灰を傾斜地に沿って加工できる工場配置、小屋材や石灰石はすべて地場のものを使用、自然との調和を図った実にエコロジカルな生産システムだった。

この文章は上毛新聞の記事を参考にしました。
上毛新聞社が取材に来たきっかけは、群馬景観研究会のメンバーの働き掛けによるものでした。
私も当時この研究会の一員であり、研究会のミーティングで初めてその存在を知りました。後日上毛新聞が大きく取り扱ってくれたのには驚きましたが、それに値する非常に価値ある建造物だったのです。私はその記事を読み乾燥小屋を再認識した次第です。まさに灯台もと暗しでした。

◆上毛新聞1996年8月18日(日)社会面 
山腹にあった”木の要塞”「近代文化遺産」への動き急 
下仁田炭酸カルシウムの乾燥小屋/優れた機能美 ため息つく研究者

◆上毛新聞1996年9月16日(月)文化面
傑出した環境芸術
今に伝える近代日本の産業、建築

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